「これで行きましょう。」市長は資料から顔を上げて言いました。 市長副市長会議で基幹系システム再構築事業にGoサインが出された瞬間です。 平成21年(2009年)12月21日のことでした。 この言葉を聞いたとき、「これで長年の堂々巡りが終わった」というホッとした気持ちと同時に、これからを想像しての高揚した気持ちが沸いたこ...
田中 寛純の記事一覧( 5 )
札幌市では「なんちゃって共通基盤」を招く3つの要因が生じないように考慮したシステム基盤の導入を行っています。 この実現には、システム基盤を構成するさまざまなしくみが関連しています。 全てを紹介するのは困難ですので、今回はそのなかで特徴的なものについて紹介します。 特徴的にな3つのしくみは、 ①MW固有の呼び出し記述を排...
ここまで、共通基盤導入のメリットと札幌市の共通基盤について紹介しましたが、どれも「共通基盤ならあたりまえ」のことのように思われたかもしれません。 しかし、この「あたりまえ」をするのがとても大変だということを、私たちは身をもって体験しました。 導入時には共通基盤のつもりだったのに、気がついたら「なんちゃって」になってしま...
自治体ソリューション2月号が発刊されました。 連載第6回のタイトルは「プロジェクトの名監督を目指す体制と人材配置の工夫」です。 プロジェクトの遂行に欠かせない「人の活用」がテーマです。 大規模なシステム開発での人の活用は、次の2点がポイントになります。 ・プロジェクトの進行とともに急激に増大する要員をどう活かすか ・変...
この記事は以下の記事の続きです。 1 共通基盤の「共通」「基盤」って何ですか? 私たちが新基幹システムの活動をはじめたとき、どうしてもわからなかったのは、共通基盤が何かということでした。 「データ連携はどの製品を採用していますか?」 「仮想化は効果がありますか?」 「文字基盤について教えて欲しい」・・・ これらは、札幌...
皆さんのところでは、せっかく導入した共通基盤が「なんちゃって共通基盤」になっていませんか? 「インフラを共通にしたかったのに、別々になってしまった」「オープン化したのに、機器やソフトが機種指定・製品指定になってしまった」・・・そんな経験はありませんか? 名前には「共通」とあるのに、共通であることのメリットが何も感じられ...
4.ベンダー依存から脱却するための「グラスボックス」 4.1 3つの要素と具体的な手法 「グラスボックス」を実現するために大きく3つのポイントがあります。 そして、AIST包括FWはそれらを担保するためにさまざまな標準や成果物を用意しています。 3つのポイントとは、大きくまとめると (1)やること(プロセス)の標準 ...
3.1 システム再構築へ、迫られる決断 平成17年1月18日、あるTV番組を見た市長から情報システム部門に急な呼び出しがありました。その番組 とは、NHKの「クローズアップ現代」です。 「自治体 VS ITゼネコン」というタイトルで、自治体の情報システムは「ITゼネコン」と呼ばれる大手コンピュータメーカー数社が独占して...
2.2 老朽化・複雑化により忍者屋敷化したシステム システムが稼働から長期間経過したことで、OSやミドルウェア、プログラムが老朽化・複雑化していきました。 それはまるで増改築を繰り返した忍者屋敷の様で、以下のような課題が顕著になっていきました。 (1)プログラムソースを見なければ仕様が把握できない 度重なる制度変更で差...
1 職員主導で進める再構築 再構築の対象となっているシステムは、人口194万人の住民記録・税務・国民健康保険・保健福祉などの行政サービスを担う市役所の基幹業務を支える一群のシステムです。 これらのシステムは大型汎用機中心に構築され、プログラム本数はCOBOLとVisualBasic合わせて約20,000本、プログラム行...